CRTグローバルダイアログ(アーカイブ)
-
年一回開催されているグローバルダイアログでは、世界から様々なビジネスリーダーが集い、お互いに企業が果たすべき社会的責任について活発な議論を展開しています。
第17回CRTグローバル・ダイアローグ(メキシコ会議)報告
- 【2002年9月5日~7日 Queretaro Mexico】
CRT日本委員会事務局アシスタント・コーディネーター 石田 寛
去る9月5日(金)~7日(日)にメキシコで開催された2002年度CRTグローバル・ダイアローグについて要旨をご報告します。今回は、メキシコ・Queretaro (ケレタロ)のホテル・ミッション・ジュリキラで開催された。米国21名、メキシコ3名、イギリス2名、カナダ、マレーシア、オランダ、ドイツからの各1名に加え、日本からは、橋本徹(富士総合研究所理事長)、内田勲(横河電機代表取締役社長)、内田欽也(キヤノン常務取締役)、吉岡博(メキシコ日産自動車社長)、渡邊彰(伊藤忠メキシコ会社社長)、大石正樹(みずほコーポレート銀行メキシコ駐在員事務所所長)、金子保久(元国際科学技術財団事務局長)を合わせた正規参加者37名に加え、5名のオブザーバー、そして事務局9名の計51名が参加した。
9月6日(土)の夕食には、ケレタロ市長夫妻のホストによる晩餐会が市長公邸で行われ、大変温かい歓迎を受けた。
また、9月9日(月)には、メキシコのフォックス大統領との会談が実現した。この会談については、代表者としてDominic Tarantino氏が今回のコー円卓会議の討議内容を簡単に説明した。この中で経済界として企業倫理を確立するには各国政府と協力するべきと考えており、コー円卓会議では政府の行動指針の草案につき話し合いを行なったことを話された。フォックス大統領はこの考え方に対して賛同され、メキシコ政府のコンタクト先を即座に明言され、早速協議を始めると意思を表明された。米人以外に参加された方々は、カナダ人のDubee氏、英国人のBates氏、日本人では橋本徹氏の代理として伊藤忠メキシコ会社社長の渡辺彰氏が出席された。
■開会挨拶
Mr. Win Wallin(前グローバルCRT会長)は、まずこのオープニングセッションの前に開催されたGGB(Global Governing Board)会議の中で、グローバルCRT会長が当人からMr. George Vojtaに引き継がれたことを報告した。その後 Mr. Win Wallinは、「テロリズムと貧困問題解決に向けて、今後Private Sectorがどう取り組んでいくのか真剣に考え、今こそ行動を起すこと必要である。」と言及された。最後に、Mr. Win Wallinは、当会議のテーマに関して、『CRTは、特に貧困諸国に対して、開発・発展の正しい道のりを支援するために、グローバルな活動を召集し、促進しなければならない』と力説した。
■グローバル経済の成長を促進することについて ~CRTのアクションプランについて~
橋本徹氏(CRT日本委員会名誉会長、富士総合研究所理事長)の司会進行の下、Mr. George Vojta(グローバルCRT新会長)より、現在の貧困問題が今だ未解決であるポイント(1.不公正や偏見の問題、2.政府支援だけでは限界)を説明された。そして貧困諸国の問題解決については、Public Sectorだけに任せるのでなく、Private Sectorの果たす役割及び責任が期待されている。今後CRTでは、具体的にグローバル経済の成長を促進するために"国家開発計画支援のための過程について"というプランに基づいて、活動することを検討している。
■グローバル・コンパクトの狙いとは? ~良きグローバル企業の市民について~
Mr. Fred Dubee(Senior Officer, The Global Compact Office, The UN)は、グローバル・コンパクトの内容や今後の活動について簡単に説明された後、CRTとお互いに協力し合っていくことがとても重要であると述べた。特にグローバル・コンパクトでは、Transparency(情報公開)やCorruption(腐敗・汚職防止)を盛り込まれていないことでお互いにスクラムを組んでいくことの意義は大きいとコメントしていた。
■企業の社会的責任は経営目標たりうるか
Ms. Sheron Watkins(Vice President, Enron Corp)は、個人的な体験を通して、これまでのエンロン事件を回顧し、どこに問題点があるのか述べた。結論は、以下の2点である。
1.各企業にある企業行動指針やコーポレート・ガバナンスを実践しなければ意味がない。
2.また取締役会の崩壊が一番問題視されているが、やはり一人ひとりの道義的精神がなければ、いかなる不正を防止する機能があってもそれは皆無に等しい。
■CRTのSelf -Assessment Improvement Process(SAIP:企業の社会的責任に基づく企業改革システム(CSRイノベーション))について ~グローバル・コンパクトのためのマネジメントツール~
Mr. Charles M. Denny(former CEO, ADC Telecommunications)よりSAIPに関する内容やこれまでの経緯について、説明がなされた後、現在SAIPのパイロット・テストを行っている企業の経営者からの途中経過の報告があった。この作業を通して言えることは、企業の大小に関わらずSAIPの質問事項(275項目)を答えることは簡単なことでないが、経営者と社員間のコミュニケーションが図れたことはとても有効的であることは間違ないことを強調されていた。またこのパイロット・テストを行っている企業からは、近々に良い結果を報告できることが期待されるとのコメントが寄せられた。
今後SAIPが他のスタンダード(特にグローバル・コンパクト、ISO等)を分析することにより、SAIPの改良する余地がないか検討しているとの報告があった。
■メキシコにおける将来ビジョンについて
Mr.Francisco Xavier Salazak Saenz(Subsecretario de Prevision Social)は、メキシコにおいては、以下の2つの問題を解決に導くためにどうすれば良いのか検討していかなければならないと問題を提起された。
1.腐敗・汚職防止、経営者と労働者の良好な関係を構築するためには、どうすれば良いのか?
2.一人ひとりのモラルをどう向上させるか?
Mr.Carlos Acedo(Secretario General, INFONAVIT)は、次のようにコメントした。ビジネスマンの教育については、真の人間としてのマネジメントが何であるかを促進しており、特に企業倫理や企業社会的責任に真剣に取り組んでいる。メキシコでも、このCRT一般原則を国内に広げていくことが重要であり、とくに労働者に対してCRTの考え方を正確に広げていくことに注力していきたい。
Mr.Sergio Perlla(Vicepresidente COPARMEX Nacional)は、Mr.Fox(メキシコ大統領)における政治体制やメキシコ経済の問題をコメントした後に、メキシコ経済を立て直すためには、主に2点を強調された。
1.最新で合法的な枠組みを開発すること。
2.Private Sectorに活躍してもらうこと。
■真の指導者について
Mr. Kevin Cashman (CEO LeaderSource)によれば、経営者にとって一番大切なことは、真の指導力が何であるかを気づくことであると述べた。そして、これを遂行するためには、本当に社員が従うかどうか不安に陥り、躊躇するかもしれないが、そこに原則というものがあれば、社員たちも追随しやすいでのはないかとコメントされた。また、Mr. Kevinは、参加者に対していくつかの質問を投げかけた。主な質問事項は以下の通りである。
1.CRT一般原則の中で最も大切な条項はなにか?
2.またそこから個人や職場での体験を通してどうしてその原則だと言えるのか?
また、社内でCRT一般原則を具体化するためには、経営者自らが日々この原則の意義を考えることが大切であり、慣習とならなければ意味がないと力説していた。
■企業が成長と繁栄するために ~腐敗・汚職の防止~
Mr. Raymond Baker(Senior Fellow, Center for International Policy, Washington, D.C.)は、腐敗の防止には金融機関のマネーロンダリングの問題をどう解決するかが重要であると述べた後に、この問題の発生原因が自由貿易に寄与するところが大であり、今後このメカニズムをどう立て直すかが重要であると語っていた。この問題解決に向けて、Private Sectorが果たす役割が大きく、特にCRTの活動に期待したいと述べていた。
■責任のあり方について ~CRT Principles for Governmentについて~
Mr. Steve Youngより世界を変えるためには、企業だけでなく、政府にも働きかけることが必要であると語った後に、CRT Principles for Government (案)について簡単に触れた。
Mr. Herman Wijffels (Chair, Economic and Social Council, The Netherland)は、このグローバリゼーションの潮流において、Private Sector とPublic Sectorを結びつけることが必要であることは周知の事実であるが、そのためにも各国政府がこのCRT Principles for Governmentを理解し、遂行することが必要であるとコメントされた。
■CRTの今後の方向性について
Mr. George Vojta(President of CRT, founder standards Forum)は、今後CRTが進む道としてこれまで自分がパワーポイントでプレゼンした内容や先ほど話があったPrivate Sector とPublic Sectorを結びつけることが大切であるとコメントした。そして、CRT Principles forGovernmentに着いてはもう少し時間をかけて検討していくことになった。また、CRTにおけるGoverning Board やGGBの意見交換を頻繁に行うことを考えていると述べた。
また、今次CRTグローバル・ダイアローグに参加された金子保久氏から頂いた報告(印象を含む)は以下の通りです。
Ⅰ.CRTの新時代・・・将来へ向けて
1.新CRT会長の誕生(CRTの第Ⅲフェーズ(*)に入った)
2.新規参加者の増加・・・過去の如く「固定化」された参加者が中心ではなく、新規参加者が中心。
3.活動目的と実行動を如何に実現してゆくかが今後の課題
4.日本よりの参加者は人数は増えているものの、核となる参加者の開拓が将来のポイント
(注*:第Ⅰフェーズ;通商問題を中心とした対話、第Ⅱフェーズ;全世界のビジネスマンでプリンシプルを作成、第Ⅲフェーズ;実行のフェーズ)
Ⅱ.今回会議での所見
エンロン問題からの検討課題[不祥事件]
"内部告発"に依るケースが殆どであり、エンロンも勇気ある告発者(ホイッスル・ブローアーの存在した事による。"ホイッスル・ブローアー"が出る為の環境作りが必要であろう。つまり、ホットライン制度及び告発者の法的保護を課題としたい。正しい経営が行われる為の規範・社則・社員教育等も勿論必要であり、その推進と共に上記のホットライン制度と告発者の法的保護策を考える時だと思う。
以 上
「グローバルダイアログ(アーカイブ)」に戻る
「グローバルダイアログ」に戻る
ホームに戻る