サプライチェーンにおけるCSRの推進(サプライチェーンCSR)は、消費者向けの商品を扱う業界、特に食品業や小売業において、食の安全性を確認したいという消費者の想いや、その途上国での生産にあたる労働者の労働条件を適正なものとして確保したいという、道徳面や倫理面に関心の高い人々の主張に対応する形で、取り組みが始まりました。その後、約10年の間に、製造業やICT、サービス業におけるサプライチェーンの広がりや、インターネットを活用したメディアやNGO等の監視、それをうけた調査会社による幅広い業種を対象としたサプライチェーンに関する調査の実施、更にはサプライチェーンに関わる規制の強化や投資家等の関心の高まりといった広がりをみせています。
今日、サプライチェーンCSR への取り組みは、自社の事業戦略に位置づけて事業継続を確実にするものとして、あるいは生産性を向上させるものとして、更には、より積極的にブランドの毀損を防ぎかつ強化するものとして、事業戦略的な観点からも非常に重要になってきています。
企業が実際にサプライチェーンCSRに取り組みを始める場合、”どこから、どのように、どの範囲まで”取り組むべきかで悩まれることと思います。その際には、次の点を考慮されるとスムースに取り組みを始めることができると考えています。
まず、いきなり全ての領域を完璧に対応することを目指すのではなく、より自社の経営戦略上重要と考えるテーマや地域から取り組みを始め、そこでの成功体験をもとに、徐々に対象範囲を拡大していく手法が得策です。
最も影響する範囲(IMPACT)を特定し、そこで抽出した重点課題(MATERIAL ASPECT)を改善させていくことが肝心です。
企業が単独で対応を決めるのではなくステークホルダーを関与させることで、より客観性をもってリスクを把握できると共に、ステークホルダーとの信頼関係の構築にもつながります。現地の課題を的確に把握し、そこから生じうる自社への顕在的・潜在的双方のリスクを整理することが重要です。
世界には、Sustainable Apparel Coalition (SAC)やSedexといった、サプライヤーのCSR/サステナビリティ状況のアセスメントや情報共有のための共通プラットフォームが既に存在しています。既存のツールを賢く利用することで、効果的かつ効率的なサプライヤーマネジメントへとつなげることができます。
管理一辺倒のアプローチではなく、日本企業が得意とする、相互の信頼関係を主とした東洋的なヒューマンタッチを包含したアプローチを取り入れていくことは、現地で働く人々が働きがいを持って主体的に自らの業務を行うことに繋がり、サプライチェーンの効果的な実施に繋がります。
CRT日本委員会はサプライチェーンにおけるCSRの推進に向けて、グローバルなパートナーシップを構築しています。
Sedex(サプライヤーエシカル情報共有プラットフォーム)
CRT日本委員会とSedex(本部:イギリス)とは、アジアにおける責任ある調達への意識向上やサプライチェーンの透明性向上に向けた企業支援における数年来の協業を経て、2015年2月にパートナーシップを締結し、Sedexの日本代表窓口として、日本企業におけるSedexの導入をサポートしています。Sedexに関する詳しい情報はこちら。
Blue Number Initiative
Blue Number Initiativeは、国際貿易センター(International Trade Centre, ITC)が主体となった取り組みであり、世界の食と農業システムを持続可能なものにすること、及び農業生産者とアグリビジネス(農業関連産業)のより持続可能性に配慮した取り組みを支援することを目的としています。詳しい情報はこちら。
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