サステナブルなイベントのつくり方(その2)~ロンドンオリンピック・パラリンピックでの事例から学ぶ~開催報告
日 時 | 2014年4月22日(火) 午後3時30分から午後5時45分 |
会 場 | 関西学院大学東京丸の内キャンパス ランバスホール |
主 催 | 経済人コー円卓会議日本委員会 株式会社セレスポ SGSジャパン株式会社 |
2014年4月22日、経済人コー円卓会議日本委員会は、株式会社セレスポ及びSGSジャパン株式会社との共催で「サステナブルなイベントの作り方~ロンドンオリンピック・パラリンピックでの事例から学ぶ~(その2)」を開催しました。当日は26社・団体より28名が参加し、3月18日に開催した(その1)に出席頂いた33団体、42名と合わせますと、累計で59の企業及び団体より70名の参加を頂きました。
SGSジャパン株式会社、鈴木マネージング・ディレクターは、開会の挨拶において、日本でオリンピック・パラリンピックを成功させるためには、世界的に認められている高い基準に則って大会を企画・運営し、それを見せていくことが重要であること、そしてその実践においては、様々なビジネスの力を総合的に結集することが重要であると述べました。
その後、経済人コー円卓会議日本委員会の岡田が、ロンドンオリンピック・パラリンピックにおいてサステナビリティに向けた取り組みを行った主要組織や、その取り組みの流れについて説明した後、ビデオメッセージという形で、ゲリー・ウォルシュ氏は「サステナブル・サプライチェーン」に関して、ジョナサン・ポウリング氏は「持続可能な食・食品」に関して、ロンドンオリンピック・パラリンピックでの取り組みを紹介いたしました。
その後、特定非営利活動法人日本スポーツボランティアネットワークの但野氏が「サステナビリティの観点から求められるボランティアの姿」と題して講演を行いました。但野氏は、スポーツボランティアの特徴や定義に触れたのち、笹川スポーツ財団による調査結果・データに基づいてスポーツボランティア実施率等を紹介し、東京マラソンという具体的事例を用いてスポーツボランティアの活動内容について紹介しました。また、東京マラソンおよびロンドンオリンピックにおいてとられたボランティアのモチベーション向上の取り組みと、ボランティアがサステナビリティという側面に対して果たすことのできる可能性について説明しました。
その後、「メガスポーツイベントと人権」と題して、Institute for Human Rights and Businessのジョン・モリソン氏がビデオを通じてメッセージを送りました。派遣労働者と人権との関わりから、ロンドンにある5,000のホテルに対して人権デューディリジェンスを実施した体験について紹介した上で、そのような経験を単発のイベントを超えて、他の都市やイベントに適用すること、継続的なリソースにすることの重要性について述べました。合わせて、企業は、メガスポーツイベントとの関わりの中で、自社が抱く人権に関する課題を幅広いコンテクストの中で捉えることの重要性について述べました。その後、岡田がInstitute for Human Rights and Businessが2013年に発行した「原題:Striving for Excellence: Mega-Sporting Events and Human Rights、仮邦題:エクセレンスに向けて~メガスポーツイベントと人権」の内容に基づき、イベントライフサイクル毎に発生しうる主な人権課題と、想定される関与者について紹介しました。
その後、経済人コー円卓会議日本委員会の石田寛事務局長が、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、世界は日本の企業やNGO/NGOがサステナビリティという側面に力を結集させて連携していくことに期待していると述べ、また、これを、企業はリスクと捉えるのみではなく、オポチュニティとしても捉えていくことが重要であることに触れました。さらに、経済人コー円卓会議日本委員会として、オリンピック・パラリンピックにどのように関わろうと考えているのか、その活動の方向性について触れました。
閉会の挨拶として、株式会社セレスポ常務取締役岡本氏より、オリンピックとサステナビリティに向けた取り組みの原則は「オリンピック憲章」にあり、4月21日のIOCからのプレスリリースでは、開催都市は「オリンピック憲章」の原点に立ち戻ること、つまり、「人権」「性別による差別の排除」「インクルージョン(包括)」をきちんと尊重していくことが重要であると明確にしていることを紹介しました。そして、それに基づいて、日本も世界の期待に応えていく必要がある、人権等も尊重しながら、オリンピックを契機に社会を変え、目に見えないレガシーを構築していくことが必要だと述べました。
さらに、バトンをロンドンからリオ、リオから東京へきちんと引き継ぐのみならず、そのバトンを次の開催都市に渡していく義務があると述べ、今後も引き続きこのような観点で議論を続けることに期待を示しました。
当日使用ビデオメッセージ(英語)
当日使用プレゼンテーションスライド・当日配付資料
- ビデオメッセージ 解説用資料
- 「サステナビリティの観点から求められるボランティアの姿」
~但野秀信氏(日本スポーツボランティアネットワーク) - メガスポーツイベントと人権(解説)