「タイと日本企業における重要な人権課題」が策定されました。
ニッポンCSRコンソーシアムでは2012年9月より、様々な業種に属する企業やNPO・NGOの方々、学識有識者の参加を得て、企業が関与する人権への負の影響の特定に向けた議論を行って参りました。今年度のステークホルダー・エンゲージメントプログラムは、日本での開催に加え、タイに拠点を置くMarimo5と共同でタイにおいても実施しました。(プログラム概要はこちら。)パブリックコメントより寄せられたご意見等について検討した結果、「タイと日本企業における重要な人権課題 第一版」(以下、「本課題」)とよびます)を次の通り策定したので、ここに開示します。
「タイと日本企業における重要な人権課題」(日本語)
「タイと日本企業における重要な人権課題」(英語)
パブリックコメントから頂いたご意見の中には、本プログラムを肯定的に評価していただいているものが多くありました。本プログラムを通じて、企業とNGO関係者の出会いの場を設定し、人権課題について議論を進められていることを評価している点が多く寄せられました。ただ、ステークホルダーでも、特に人権侵害を受けている直接の当事者の声が含まれていないことに限界を感じるとの声が寄せられました。NGOは、「人権課題」を抱える人たちの代弁者ですが、人権侵害の実情を訴える意味において限界があります。企業が人権課題に取り組む際には、「人権課題」の当事者との対話が重要であることを認識しなければなりません。また、ここで抽出した課題を具現化していくためには、各企業の担当者が真剣に社内の他部門を啓蒙して合意していくための強い信念や能力を備えるためのトレーニングプログラムを提供すべきではないかとのコメントが寄せられました。
近年グローバルレベルで責任あるサプライチェーンがこれまで以上に強く求められている中で、タイだけではなく、他のアジア地域でも来年以降開催できないか打診がきています。
国境付近を中心とした「外国人労働者」やタイでの小規模農家でのパーム油生産に関して人権侵害の有無について、タイや日本企業も明確に現状を把握して具体的な対応策を実施していく必要があるとの意見がありました。
上記の課題(職場の健康と安全、腐敗と賄賂、外国人労働者や小規模農家でのパーム油)に関して議論を深堀するため、当会は本年度の9月15・16日に開催する「ビジネスと人権に関する国際会議in 東京」で取り上げ、招聘された海外の有識者、ステークホルダー・エンゲージメントプログラムに参加した企業関係者とNGOsを交えて議論を行う予定です。その場を通して、企業は企業活動と密接な関係のあるサプライチェーン上での権利の所有者(Rights-holder)と真摯にダイアログを行い、課題を認識し、自社の人権デューディリジェンスを機能させることが重要であります。
ニッポンCSRコンソーシアムは、今後とも企業、NGO/NPO、有識者の方々、そしてイニシアティブ団体の方々と協働して、「ビジネスと人権」に関する課題の解決に向けた取り組みへの支援に努めていく次第です。本課題が、企業の皆さまの「人権デューディリジェンス」実施の上でのお役に立つことを期待します。
本件についてのお問い合わせ先
経済人コー円卓会議日本委員会
担当:石田寛、高橋宗瑠
TEL:03-5728-6365
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