【CRTニュース】サプライチェーンにおける小規模農家・水産業者の取り組みを支援します。
【2016年9月9日 東京・ニューヨーク】
経済人コー円卓会議日本委員会(CRT日本委員会)は、日本の小規模農家・水産業者(以下、生産者)へのブルーナンバー(bluenumber)の提供を開始するとともに、アジアから農水産品を購入する日本企業に対し、その生産者を「知る」ことを目指した取組み支援を開始します。CRT日本委員会は、日本国内の、または、日本向けに輸出する農業および食品業を対象とし、生産者を中心に据えたオンラインプラットフォームを構築するため、この度、Bluenumber Foundationとパートナーシップ契約を締結しました。
Bluenumber Foundationは、ニューヨークを拠点として活動する、非営利活動法人であり、独立・中立の立場でブルーナンバー(bluenumber)への登録情報を管理しています。ブルーナンバー(bluenumber)は生産者を対象としたIDであり、生産者はブルーナンバー(bluenumber)上に属性や生産地域、生産物を登録することで、その情報を広く一般に公開することができます。登録された情報は、グローバルマップであるブルービュー(BlueView)上で確認することができます。
CRT日本委員会では、これまで、企業における持続可能性に向けた取り組みを支援してきました。2012年以降は、「ビジネスと人権」を中心として、事業戦略やマネジメントシステムにおける人権尊重の視点の統合に取り組んでいます。CRT日本委員会の事務局長である石田寛は、「ブルーナンバー(bluenumber)は、企業の人権尊重の取り組みにおいて、大いに役立つものであると考えます。企業は、ブルーナンバー(bluenumber)を用いて自社のサプライチェーンに関係するすべての人々を見える化することで、それらの人々の権利尊重の取り組みを進めることができるでしょう。ブルーナンバー(bluenumber)における位置情報は、人権方針の策定や、人権デューディリジェンスの実践に役立つだけでなく、特に人権影響を意味ある形で評価し、測定する際に役立つものと信じています」と述べています。
日本は、国内で消費する農水産物の多くを、マレーシア・ミャンマー・タイ・ベトナムといった国からの輸入に頼っていますが、現在これらの国において、パームオイル、フルーツ、油糧種子、養殖海産物を対象としてブルーナンバー(bluenumber)のパイロットプロジェクトが開始しています。日本の小売業の多くがASEAN地域へ活発に進出していますが、ブルーナンバー(bluenumber)を活用することで、自社の製品が持続可能性と人権へ配慮したものであり、国際的な期待に応えるものであることを確実にすることができるといえます。
Bluenumber FoundationのCEOであるプヴァン・セルヴァナサン(Puvan Selvanathan)は、「ブルーナンバー(bluenumber)は、どの食品が誰によって作られたものなのかを明らかにします。今日、サプライチェーンは“ブラックボックス”の状態であってはなりません。仮に10万戸の農家から人権を尊重する形で農産物を調達していると主張するのならば、彼らの名前や生産地が明らかになっていなければなりません。人権尊重に取り組んでいる、あるいは生産者の生活を支えていると主張する大企業やブランドは、自社のサプライチェーンに誰が関わっているのかを明確に示さない限り、その取り組みに対して信頼を得ることはできません」と述べています。
ブルーナンバープラットフォーム(Bluenumber platform)は、誰もが即座にグローバルIDを入手できるようにし、登録者の基本情報を閲覧できるようにすることによって、信頼を構築しようとするものです。ブルーナンバーの登録者は、希望次第で、企業/組織やバイヤー、また、消費者に対し、自身の基本情報以外の情報についても提供することができます。これによって、誰がサプライチェーンに関わっているかが見える化され、完全なトレーサビリティと透明性の確保が可能となります。また、価値を伴わず費用だけがかさむ階層構造や、ベース・オブ・ザ・ピラミッドに位置する生産者からの搾取に対して疑問を投げかけ、生産者のよりよい生活の実現に向けた取り組みを促すものです。
CRT日本委員会とBluenumber Foundationによる本パートナーシップは、国際機関と企業との間で積み重ねられてきた議論の結果といえます。ブルーナンバー(bluenumber)パイロットプロジェクトは、日本においては漁業、農業、食品業に焦点を当て、そこで働く外国人労働者の人権尊重の取り組み、ASEANから調達される食品がどのように製造加工されるのかについてのトレーサビリティと透明性を確保し、小規模生産者が直接消費者とつながることを支援します。
本件に関するお問合せ:
経済人コー円卓会議日本委員会
ディレクター 岡田美穂
+81 (0)3 5728 6365
miho_okada@crt-japan.jp
Bluenumber Foundation
ディレクター テリー・リー
+1 (510) 541-4548
terry@bluenumber.org
Bluenumber Foundation について
Bluenumber Foundationは、ニューヨークに本部を置き、世界でプロジェクトを展開する非営利活動法人。ブルーナンバー(bluenumber)を通じ、誰もが自身の情報を発信し、自身の存在を認識されることを可能とすることによって、意義あるデータの活用を目指す。あらゆるシリアルナンバー、コード、名前、身分証明書番号、電話番号等がブルーナンバーとして利用でき、個人利用者は自身の基本情報をブルーナンバーに紐づけて登録することができる。 Bluenumber Foundation は持続可能な開発目標(SDGs)を促進しており、SDGsの達成度合いを測るためにグローバルなブルーナンバー(bluenumber)のレジストリであるブルービュー(BlueView)を提供している。ブルービュー(BlueView)は、政府、企業、NGO、地域コミュニティにおける、よりよい政策決定やターゲット設定において活用されている。Bluenumber Foundation は、一人ひとりが、自身が誰で、どこに存在しており、何をしているか、そして、何が必要で何を欲しているかを伝えられることが、よりよい世界実現の第一歩と考えている。
詳細は以下をご覧下さい。
www.bluenumber.org(英語サイト)
http://www.bluenumber.org/125071254012512.html(日本語サイト)
経済人コー円卓会議日本委員会(CRT日本委員会)について
CRT(http://www.cauxroundtable.org/)は、ビジネスを通じて社会をより自由かつ公正で透明なものとすることを目的としたビジネスリーダーのグローバルネットワーク。よりよいグローバル社会の実現を目指し、政財界のリーダーと共に戦略やマネジメントツールの開発・実践に取り組む。経済人コー円卓会議日本委員会(CRT日本委員会)(https://crt-japan.jp/)は、日本において、サステナビリティ(持続可能性)や人権尊重視点の企業戦略およびマネジメントシステムへの統合に向けた企業支援に取り組む。2012年からは、サプライチェーンを含む事業活動を通じた人権への負の影響について議論するマルチステークホルダープラットホームを運営する他、グローバルなネットワークを活用して人権への負の影響を管理・把握するためのツールを提供している。