【お知らせ】2025年度「監理団体および登録支援機関を対象としたアンケート調査」結果について
CRT日本委員会は、2025年度「監理団体および登録支援機関を対象としたアンケート調査」を実施しました。その結果をご報告いたします。
実施背景
経済人コー円卓会議日本委員会(以下「当会」)は、技能実習生および特定技能外国人の来日数が伸びる中、当会と関わりのある企業より、人権デューディリジェンスを推進する必要性から、「ビジネスと人権」観点から優良団体の見極めに資する情報を得たいというお声を多く頂戴してきました。これを受けて、この度、監理団体および登録支援機関における人権尊重に向けたお取り組みの状況を「ビジネスと人権に関する指導原則」の内容に沿って把握し、評価し、評価の高い団体についてその団体名/社名を回答内容(一部)とともに公開する目的で、監理団体および登録支援機関を対象としたアンケート調査を実施いたしました。
実施対象
当会は、2025年4月末日時点で、人権尊重にご関心をお持ちと考えられるグループやネットワークの会員である監理団体および/あるいは登録支援機関257団体/社(以下、「団体」とします)に対して調査票を郵送いたしました。
実施方法
2025年4月に「アンケート調査ご協力のお願い」を257団体に対して郵送し、5月末日のアンケート締切日までに以下の11団体よりご回答をいただきました。6月末日までに、当会で「評価手法(仮)」を策定し、これに則った評価結果を11団体宛てに送付の上、必要に応じて追加情報の提供を求めましたところ、4団体より追加情報のご提供がありました。この追加情報に基づき再評価した結果、11団体の平均点は17.0から18.6へ1.6ポイント上昇しました。なお、評価手法(仮)は、今後、回答いただいた監理団体および登録支援機関の声を得ながら精査する考えです。
- 協同組合アシスト https://www.assist-tokyo.asia/
- 公益財団法人国際労務管理財団 http://www.ipm.or.jp/
- ARCH plus協同組合、ARCH plus株式会社 https://arch-plus.co.jp/
- ティー・アイ・シー協同組合 http://ticc.or.jp/
- アジア技術交流協同組合 https://asea.jp/
- みらい協同組合 https://www.mirai-kk.net/
- 協同組合西海協 https://www.saikaikyo.com/
- GMT協同組合 https://gmtasia.jp
- RD事業協同組合 https://www.zazen-rd.jp/
- 千葉中部流通協同組合 https://www.ccra-c.jp
- 協同組合グローバルリンク (HPのご回答なし)
評価結果
設問数は全22問であり、そのうち6問を除く16問が評価対象です。設問はA、B、C、Dから構成されますが、評価対象は設問B(基礎情報)および設問C(ビジネスと人権に関するお取り組みの内容)に限定しました。この度、点数の高い順に8団体の評価結果および、この8団体の設問Cへの回答内容を公開いたします。上位8団体の団体名および点数は以下をご覧ください。なお、全11団体の平均は18.6点(全設問満点の場合は36点)でした。
監理団体・登録支援機関名 | 点数 |
協同組合アシスト | 30 |
公益財団法人国際労務管理財団 | 25 |
ARCH plus協同組合、ARCH plus株式会社 | 21 |
ティー・アイ・シー協同組合 | 21 |
アジア技術交流協同組合 | 20 |
みらい協同組合 | 18 |
協同組合西海協 | 18 |
GMT協同組合 | 18 |
設問毎の最高点に対する全11団体の得点の割合の平均は右の図の通りでした。設問B-1(職員が常駐する都道府県数の割合)、設問B-6(雇用主の事業所に職員を駐在させる際の基準)、設問C-4-1(手数料徴収の防止対策)、設問C-4-3(人権や労働権への理解を促す対策)、設問C-4-5(相談ツール、制度や仕組みの整備)、設問C-4-6(懸念や苦情への実効的な対応)は、満点に対する全11団体の平均点の割合が50%未満にとどまりました。設問Bおよび設問Cにおける点数の傾向についてはこちらをご覧ください。
当会事務局長からのメッセージ
当会として初めて、監理団体・登録支援機関の評価指標づくりに着手いたしました。ご協力いただきました監理団体・登録支援機関の方々に感謝いたします。技能実習生や特定技能外国人の採用および雇用環境の改善に真摯に取り組まれる11団体のご協力を得て、このプロジェクトに踏み出せたことに喜びを感じています。今後とも当会では、この取り組みを継続する所存です。いずれ、ここでの評価結果を企業それぞれの人権リスクの低減や人権デューディリジェンスの実施にご活用いただけるよう、そして、その結果として、労働者一人ひとりの安心できる採用および雇用ルートの確保に繋げられるよう、本取り組みに対する企業側の認知も少しずつ得て参りたいと考えております。そして、技能実習生や特定技能外国人、監理団体・登録支援機関、企業の3者間での信頼基盤の構築に向けて当会の果たすべき役割を全うしていく考えでおりますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
本取り組みに関してコメントを頂戴いたしました。
現在、技能実習制度で設定されている「優良な監理団体の基準」には、国連指導原則やダッカ原則といった人権尊重に関する国際規範に準拠した項目がありません(特定技能制度には、優良な登録支援機関を見極める基準自体がありません)。しかしながら、監理団体や登録支援機関が実際に日々取り組んでいる各種支援の中には、実は国際規範の理念に合致しているものや他の移住労働者受入れ国では提供されていないもの等が数多く存在しており、結果的に人権リスクの低減や人権侵害に対する救済に繋がっていることも事実です。
OECDの報告書でも「監理団体が提供する労働移住の初期段階におけるオリエンテーション、雇用者と労働者への支援、日常生活の責任という全体的枠組みは維持されるべき」との指摘があり、外国人雇用において、監理団体や登録支援機関の選定が重要であることは疑いようがありません。
CRT日本委員会のこのプロジェクトを通じて、国際規範と監理団体・登録支援機関の取組みが接続されることで、外国人の人権尊重に真摯に向き合っている監理団体や登録支援機関の実相の可視化が進み、公正・適正といった倫理的な採用や質の高い雇用管理・育成が当たり前となることを祈念しています。株式会社ワールディング 執行役員 池邊正一朗 氏
お問い合わせ先
経済人コー円卓会議日本委員会
メールアドレス:info@crt-japan.jp